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Posted by さぽろぐ運営事務局 at

2010年05月04日

写真集を観る003



写真集を観る003

さぼってばかりいて、ようやく第三回目となった”写真集を観る”シリーズですが、
本日は写真集ではなく(オイオイ;)、画集をとりあげます(笑)




4月17日から函館市美術館で開催されている”世界の巨匠展”に先日出かけたのは
前回の記事で書きましたが、その際イギリスの歴史画家ジョン・マーティンのメゾチント
にいたく感心し、その作品が現代のモノクローム写真に相通じることに気づいたのでした。

特にその黒の階調性はすさまじく、うっかりすると写真でも及ばないくらいです。
まさにモノクロのHDRと言いたくなるくらい広大なラチチュード表現。これをエッチングした
上でメゾチントに彫製しているなんて!もうほとんど病気の世界です(笑)

早速、帰宅後マーティンの画集をネット買い(笑)

メゾチントをご存じない方はWikipediaでお調べ下さい、簡単に述べると版画の一技法です。
銅版全面に目立てを起こして、それを削りながら階調を表現する手法です。
ともかくメゾチント板なるものが販売されていなかった当時では気の遠くなるような作業が
必要なのです。大作だと銅版の目立てだけで一年かかるくらい(汗;)



右ページ、黒の階調性にただあきれる・・

マーティンの凄さはそれだけではありません、古代神話や聖書の場面々をとてつもない
スケール感(特に絵画)によって創造性豊かに描き出しています。
その基本テーマは破壊と荒廃、苦難と再生ですが、タッチには荒々しさと繊細さが奇妙に
同居しており、まったく感心せざるを得ません。これが1800年代に作られたものとは。

絵画などの構図はある意味、モダンアートやマンガ、アニメなどに通じるものがあります。
19世紀の永井豪と言ってもいいかも知れません。

このようなマーティンにも欠点がないわけではなく、自然や建築物などの描写は物凄い
ものの、人物表現などはいまいちで薄っぺらさが残ると評価されています。
しかし、思うにマーティンは人間そのものより自然や神の力の強大さを描きたかった画家と
思われ、それにより苦難を与えられる人間は本当にちっぽけな存在だったのでしょう。



左ページ、”The Plains of Heaven"(部分)

マーティンのメゾチントは多彩で優れたものが多く甲乙つけたいのですが、絵画ではCERO
は最晩年のThe Plains of Heaven(天国の平原)が最も好きです。
あれだけの破壊の限りをつくしたあとに、この透明で静謐な世界、限りない美しさに満ちて
います。部屋に飾ったら心安らかに過ごせそうです(現物は3mもありますが)笑



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<撮影データ>
NIKON COOLPIX P5100
ZOOM NIKKOR 7.5-26.3mm F2.3-5.3
撮影日:May.2010
撮影地:函館市内

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Posted by CERO at 20:54Comments(2)写真集を観る

2008年11月11日

写真集を観る002





ちょっと前に本城直季氏の写真集を図書館から借りていた。
みなさんご存知の「スモール・プラネット」である。
2007年の木村伊兵衛賞に輝いた作品なのだが、じっくり観るのはこれが初めてである。

4×5(シノゴ)のアオリ機能を使って、画面の中央水平部をパンフォーカスにしてその前後
をボカしてしまう手法である。これにより見た目はまるでミニチュア・ワールドを見ているような
錯覚に陥る。そういう作品である。

当然画面に色々なものを収めなければならないので、遠景、しかも高所からの撮影が必須
である。時には空撮なども必要で、撮影の苦労は並大抵ではないはずである。
いったいヘリなんかチャーターしたらモトなんかとれるのかなーと心配してしまう貧乏性の
CEROである。写真はどれも興味深くジオラマ好きの人間なら誰でも楽しめると思う。
CEROは白川郷の写真が気に入った。

写真のエンタテインメント性を考えると十分に木村伊兵衛賞に選ばれておかしくない作品だと思う。
しかし、あえて言わせてもらえば、この写真手法に発展性はあるのだろうか?

この手法自体はもともと古くからあるものだし、その点からは「マーク・レイダー」のパクリだなどと
陰口をたたく人もいる。徹底的にジオラマ的風景を展開するのもいいが、飽きられてしまえば
それまでである。次に写真集を買ってもらうなら相当のカクゴを決めて臨まなければならないだろう。
それがある意味キワモノ的なこの写真集の一番の問題点ではないだろうか。

注)この記事はCEROの完全な個人的印象で書いておりますので、多少的外れ的側面があっても
ご容赦願います。


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Posted by CERO at 15:21Comments(6)写真集を観る

2008年09月18日

写真集を観る001





今日は「東京一夜物語」をちょっとお休みして、写真集のことを・・・

リー・フリードランダー(1934ー アメリカ)の写真集を図書館から借りている。
題名はリー・フリードランダー写真集となっており、歴代の彼の代表作がおさめられた
オムニバス形式の写真集である。日本で編纂されたものかもしれない。
撮影にはほぼライカ(時代的にはM2?)が使われているようだ。

ところで、図書館はCEROのお気に入りの場所だ。
借りるのは写真集だけだが、それも一回に二冊までに決めている。
一度にたくさん借りても、じっくり観る時間は限られているし、他の人にも迷惑だろう。
写真集は有名な作者で大判のものほどお値段も高いので借りるのが一番だ。

写真集くらいなら”立ち読み”ならぬ”立ち観”したらいかがと思われるかもしれないが、
CEROの場合何度も見直すので2週間ほど手元に置いておけるのはありがたい。
次の借り手の予約が入ってなければ延滞して1ヶ月借りておくことも可能である。

たいていの写真集には、先付けやあと書きに作者の略歴や作風についてまとめたもの
が付いているのだが、CEROの場合それはサラッと目を通すだけで、あまり細かくは読まない。

写真集なんだから写真を観て、何をどう感じるかが大事だと思うからだ。
だからここにもCEROが感じたままを書くことにする。

それでフリードランダーだが、本当によくワカラナイ作家だ。写真集にはアメリカの都市や
田舎のありふれた、どうでもいいような風景やポートレートがならんでいる。中には日本の
桜をモノクロでまとめたものもある。構図はアバウトだし、仕上げはイマイチだし、いったい
どこがいいのかとホントに思ってしまう。しかし、なんとなく分かってやってるんじゃないかな?
という作者の意図的なものが感じられるところに肝(キモ)があるようだ。

フリードランダーが登場するまではここまで私的な日常を捕らえた写真はあまりなかったらしい。
そこにはアメリカの栄光などは微塵もなく、寂れた田舎町や、どこかアンニュイで空ろな表情
をした人々とともにアメリカの歴史を象徴するモニュメントでさえ空々しく投げやりに配置され
ている。物質文明に対するアンチテーゼ的な雰囲気さえ漂っているような気がするのはCERO
だけだろうか?

写真の中に写っている世界はおそらくフリードランダーの心の中にある虚構の世界なのかも
しれない。そこをどうぞ訪れてみてくださいと彼はたぶん言っているのだ。
そこで私たちは何を見つけるのだろうか?

CERO見つけたものは砂塵舞うアメリカのドライな風景の中にたたずむ作家の孤独な姿だ。
「アメリカは何でも手に入れた。でも俺たちの日常はこんなに殺伐としている。俺たちの
求めていたものはいったいなんだったんだろう?」
と聞こえてくるような気がしてならない。

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リー・フリードランダー、好きか嫌いかと言われれば、んーちょっと好きかも。
なんかCEROの写真と共通性があるような気がする。
図書館に彼の別の写真集があったら、CEROはきっとまた借りるだろう。



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アット・モノクローム銀河を訪れていただきありがとうございます。
そして記事も最後まで読んでくださったあなた・・・

特別に裏ブログ「プレアデスの星の下に」へご招待します。
裏といってもアヤシイものじゃございません(笑)

プレアデス星団ではCEROが撮ったカラー写真を中心に初期の詩付き「終末時計」
なども観ることができます。まあガラクタ倉庫のようなものカナ?
気軽に楽しんでくださいね。

それではまもなくプレアデス星団行きの銀河鉄道が発車いたします。
リンクをクリックしてくださいね。

そうそう、プレアデス星団に行くには乗車券(パスワードが必要です。)
今週のパスワードはこれです→ ticketdo

http://ceromusicmonochrome.sapolog.com/

では、よい旅を!

(注:パスワードが無効のときは最新記事の一番下を見てくださいね)
  

Posted by CERO at 20:49Comments(2)写真集を観る